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ボートで使う金属部品 ステンレス編 [艤装屋.com]

 
ボートで使う金属部品の話を何回かに分けて掲載。
 
 
艤装における金属部品の錆対策としては・・・
 
①錆たら交換
 
②塗装で対応
 
③錆びにくい部品に換装
 
・・・これら3パターンが一般的と思われる。
 
①と②は省略、この場では③についての説明を行う。
 
 
 

錆びにくい金属の代表「ステンレス」
 
ステンレス鋼材は成分による分類で2種類(クロム系とクロムニッケル系)、
金属組織に分類で5種類(オーステナイト、マルテンサイト、フェライト、二相、析出硬化)に
分ける事ができる。
 
成分に関してはJISでも幅を持った表記であり、材料メーカー独自の成分配合や
熱処理を行っているため、例えば「SUS304」の表記があっても厳密な組成は
異なる場合がある。
メーカー固有の名称が付いたステンレス鋼材であっても
例えば「SUS304相当」のような表記をしている場合が多いので
どのステンレス鋼材種に近いかの判断は可能。
 
ボート艤装では主にオーステナイト系のステンレスが使われる。
SUS304/SUS316または316Lの使用が一般的。
 
 
 
SUS304/SUS316/SUS316Lについて
 
これら3つは前述のオーステナイト系のステンレスに属する、
主成分をクロムニッケル系とするタイプ。
クロムとニッケルをあわせる事で、ステンレスの最も特徴的な要素である
表面の「酸化膜」(不動態皮膜)の密着力が上がるため
錆に強くなり、耐熱性も高まる。
 
 
SUS304
世間一般的に言う「錆びにくいステンレス」
含有成分のCr(クロム)18%とNi(ニッケル)8%をとって
18-8ステンレス(じゅうはちはちすてんれすorいちはちはちすてんれす)
とも呼ばれている。
機械特性的には 引っ張り強度:520[MPa] 耐力:205[MPa] 伸び40% ※数字は代表値
 
 
SUS316
18Cr-12Ni-2.5Moの組成で、SUS304にMo(モリブデン)を添加し
耐食性を向上している。機械的強度はSUS304に準ずる。
 
 
SUS316L
SUS316の極低炭素鋼。316の耐粒界腐食性を強化している。
機械的強度は316に比べやや劣る。

ちなみに316と316Lを使った金属パーツの事を「マリングレード」と表記している
部品メーカーもある。
 
 
 
ステンレスでも錆びる・・・
フィッシングプライヤーのパッケージに「ステンレス使用」とか
「錆に強い」と表記がある製品も海水を被り、しばらくすると錆が出る。
これはプライヤーなどに一般的に使われているステンレスが、
フェライト系ステンレスのSUS430である場合が多いため。

SUS430はクロム系ステンレスでニッケルを含まない。
クロムの組成比から18Crステンレス(じゅうはちくろむすてんれす)とも呼ばれる。

硫黄を含むガスに対して高温環境下で腐食し難いという特性や
塩化物におる応力腐食割れが発生しないと言う利点があるが
ニッケルが無い分、オーステナイト系ステンレスより耐食性は劣る。

何を理由にこの素材を使ってるのかは不明。
コスト?加工性?
 
磁性を持つため、430かどうかを確認する場合は磁石を近付ければ分かる。
ただし、オーステナイト系のステンレスでも冷間加工の際に
わずかに磁性を持つ物もある。
(冷間でプレス加工したSUS304のワッシャーで弱い磁性を持つ物を
見た事がある。) 
 
  
 
 
ボート艤装では・・・
「主にオーステナイト系のステンレスが使われる。
SUS304/SUS316または316Lの使用が一般的。」・・・と述べたが、
海水での使用が前提であれば、316または316Lがベターと考える。
 
シビアな機械的強度を要求しない場所である
ロッドホルダーやスナップ、フック類などの
後付け部品の締結には、耐食性を優先してチタン化するのも
一つの手。(但しコスト検証は必要)
 
原則的に強度と耐食性はほぼ反比例の関係にあるので
その点を考慮した材料選定が必要となる。
 
ちなみにエンジン回りの不用意なステンレス化やチタン化は控えた方が良い。
SUS304や316などのオーステナイト系ステンレスは、一般的に素材としての
強度はさほど高くなく、かつ伸びやすい特性のため、機械的強度が求められる
部分への使用は避ける方が無難。
高温時の酸化に対しては抵抗力はあるが、鉄系のボルト類に比べ
「熱膨張率が高い」「熱伝導が低い」「異種金属同士の接触による電食が
おこりやすい」などのデメリットがあるためである。
 
 
 
今回はここまで。
 
次回はチタンの話を少し・・・
 
  
 
 
 
 
おまけ(あとがき)

ずっと疑問なのが、金属部品の原材料表記について。
材料名称として例えばSUS316とか304と記載されていれば、
すぐに判断できてありがたいのだが、時々見るのが「材料 ステンレス」としか
表記が無い場合。何のステンレスなのかが分からん!
表示義務は無いの???

ホームセンターなどで売ってる「ステンレス」と表記のある金属部品。
SUS430が多いように感じるのは気のせい?
 
 

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湘の丸

ステンレスにもここまでいろいろ種類があるんですね。
知りませんでした。
ありがとうございます、勉強になりました(^^)
by 湘の丸 (2015-11-20 04:52) 

神宮


湘の丸さん

いやいや、もっと多くの種類があります。
材料系の話は、やり過ぎるととめどなくなるので、
一般的にボートで使われてる種類を紹介ました・・・。

今後も時期を見て、材料系のネタを掲載しようと思っています。
 
by 神宮 (2015-11-25 19:29) 

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